銀行と交渉する(リスケジュール) |
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リスケジュールとは、返済が苦しくなったときに、現状と今後の見通しをふまえ、返済可能なスケジュールを考えて、毎月の返済額を見直す方向で債権者と話し合いをすることです。
延滞が発生する前に交渉するのが基本ですが、場合によっては延滞後でも交渉に応じてもらえます。
ただし、優遇金利の適用を受けている方は、延滞によってその適用が打ち切られることもありますので注意が必要です。
多くの金融機関では、取引期間が1年ほどたつと、契約の見直しや再審査ができるようになります。
そのときに担当者に連絡をとり、「もう少し金利を安くして欲しいんですけど…」
と問い合わせてみましょう。条件が合えば、金利の引き下げに応じてもらえることがあります。
その際、変更手数料や印紙代等の別途諸費用がかかることもあるので、事前に確認が必要です。 |
「同じ銀行内の他の金利タイプ」へ変更することで、毎月の返済額を少なくすることができます。
長期的な安心感を得られるbやd(※下図参照)ですが、比較的金利は高めとなります。
当面の負担を軽減するのなら、aやc(※下図参照)の低金利タイプへ変更するのが効果的な方法です。
ただし、将来金利が上昇した時のリスクは頭に入れておかなければいけません。
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借入期間が最長期間でなければ、金融機関の判断によって返済期間を延長し、毎月の返済額を少なくすることができます。例えばフラット35の場合、最長15年の返済期間延長が可能です。ただし、期間延長に伴い利子の総返済額が増え、総返済額も増大します。将来余裕ができた時、繰上げ返済などで残債の額を調整しなければいけません。
また多くの場合、期間延長の手続きに際して保証会社との調整があり、保証料が別にかかります。 |
借り換えを検討する |
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借り換えとは、新たに低金利の住宅ローンを借り入れ、今借り入れをしている住宅ローンを一括返済することです。
低金利のローンに借りなおすことで、金利の差額分、今後の利息の支払いを軽減することができます。
借り換えの効果が期待できる一般的な目安は、
(1) 借り換え前と後の金利差が1%以上
(2) 残債が1000万円以上
(3) 返済期間が10年以上
以上のいずれかの場合に該当するときでしょう。
■借り換えの流れ
1) 借り換え後の金利設定と、借り換えの融資を受ける金融機関を決める |
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2) 金融機関に住宅ローンの相談・申し込み |
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3) 審査結果 |
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4) 本審査の申し込み |
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5) 現在ローンを返済している銀行に連絡 |
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6) 融資承認(確認) 銀行との契約手続き |
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7) 元の住宅ローン一括返済・抵当権抹消書類の受け取り・司法書士への連絡 |
■借り換えに伴う諸費用
借り換えに伴う諸費用には、保証料、事務手数料、印紙税に登録免許税、司法書士報酬などがあります。
これらの費用は、ローンの借入金額や返済期間、保証料の有無にもよりますが、概ね30万円〜80万円かかります。
金利ばかりではなく、この諸費用の内容と金額も考慮しましょう。「せっかく手間と費用をかけて借り換えたのに、あまり効果がなかった」とならないよう、しっかりプランを立てることが大切です。
個人再生で借金を圧縮する |
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「個人版民事再生法」とは、住宅ローン以外の無担保債権(消費者金融、カードローン、信販ローンなど)の額を大幅に圧縮し、住宅ローンの返済を続けていくという制度です。適用されるのは、あくまで住宅ローン以外の債務に限られ、住宅ローン自体の減額はできません。
個人再生には、自営業者向けの「小規模個人再生手続き」と「給与所得者等再生手続き」の二つがあり、サラリーマンはどちらか有利な方を選ぶことができます。
どちらの手続きについても、整理後の債務額は原則として1/5前後に減額され、これを基本的に3年以内で返済します。
うまく利用できれば借金を大幅に減額できますが、綿密な再生計画案や予納金の準備、収入証明、資産一覧や債権者一覧などの書類をそろえて提出するなど、時間と手間がかかる手続きになります。また、個人再生手続き開始決定から再生計画認可までの間に、官報へ3回掲載されることも考慮しなければいけません。
■住宅ローン特則
住宅ローン特則は、住宅ローンの支払方法の変更を認める制度で、個人再生と併用することで、住宅を保持しながらローンを返し続けることができます。
この特則は、住宅ローンの残金を減額するものではありませんが、残金全額の一括請求を待ってもらえたり、完済までの期限を延ばして毎月の支払金額を少なくしてもらうことができます。その場合、期限の延長期間は10年以内かつ70歳までに完済しなければなりません。債権者の同意があれば、この条件も緩和することは可能です。
なお、保証会社の代位弁済後でも、6ヶ月以内に民事再生の申立てを行い認可されれば、ローン返済を続けていくことができます。
■適用条件
◎小規模個人再生◎ |
◎給与所得者再生◎ |
- 再生債務が5000万円以下であること
- 議決権者の1/2および議決権総額の1/2を超える不同意がないこと
- 継続的・反復的収入の見込みのあること
- 最低弁済額を下回らないこと
※最低弁済額は総債務額の20%(下限100万円
)
500万円以下 |
・・・ |
100万円 |
500万円〜1500万円 |
・・・ |
債務額の20% |
1500万〜3000万円 |
・・・ |
300万円 |
3000万円超 |
・・・ |
債務額の10% |
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- 再生債務が5000万円以下であること
- 最低弁済額を下回らないこと
最低弁済額は可処分所得の2年分
- 給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがあること
- 給与またはこれに類する収入額の変動の幅が小さいと見込まれること
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■個人再生手続きの流れ
1) 弁護士・司法書士などに相談 |
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2) 弁護士事務所などから貸金業者などへの委任通知発送 |
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3) 債務額決定 |
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4) 裁判所に民事再生申し立て |
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5) 債務者が裁判官と面談(審尋) |
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6) 再生手続き開始決定 |
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7) 再生計画作成・提出 |
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8) 債権者に意見聴取 |
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9) 再生計画認可・確定 |
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10) 再生計画に基づく弁済開始 |
任意売却を検討する |
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任意売却とは、住宅ローンの滞納などによっていずれは競売にかかる物件を、債権者全ての合意のもと適正価格で売却することです。
通常、3ヶ月以上の滞納で、債権はお金を借りた金融機関から保証会社に移行します。金融機関は、残債を保証会社に補填してもらえるため、痛みをともなわず債権を回収できるわけです(※これを代位弁済といいます)。
保証会社はローン残債の一括返還を求めてきますが、返済が不可能と判断すると、裁判所へ競売の申し立てを行います。しかし、競売の場合、売却価格は市価の5〜7割程度に下がってしまうため、多くは債権者の方から競売ではなく任意売却を薦めてきます。なぜなら、任意売却で物件が処分できれば、売却価格は相場より多少低い価格になるくらいで済み、より多くの債権回収が見込めるためです。
売主も残債の額を押さえることができ、双方にメリットがある任意売却ですが、デメリットとしては、一定期間、信用情報(ブラックリスト)に載るということがあります。
■任意売却を頼む不動産会社の選び方
まだ競売の申し立てまで進んでいない段階で、延滞もなく債権が保障会社に移行していない場合なら、一般的な不動産仲介業者に依頼しても問題ないでしょう。
しかし、競売の申し立てまで進んでいるなら、任意売却を専門に扱う業者に依頼する方がスムースに手続きをとりおこなえます。
☆こんな業者には要注意!
◎広告料・着手料など、仲介手数料以外の代金をとる
◎「早くしないと近所中に知れ渡りますよ」
など不安をあおり、任意売却を執拗に勧める
任意売却も一般売却と同じように、仲介業者と「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介」のいずれかを結ぶ必要があります。時間も状況も差し迫っているなら、専属専任や専任媒介契約を結ぶことで積極的な売却活動が期待できます。専属専任や専任媒介の場合、他の宅建業者に重ねて媒介や代理を依頼することができませんので、信頼できる業者選びが大切です。
■任意売却の流れ
1) 住宅ローン延滞発生 |
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2) 銀行からの督促 |
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3) 代位弁済 |
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4) 任意売却を専門業者に依頼(専任媒介契約) |
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5) 保証会社に通知 |
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6) 売却活動スタート |
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7) 売買契約締結 |
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8) 抵当権抹消協議 |
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9) 債権者との合意 |
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10) 決済・引き落し |
住み替えを検討する |
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「月々14万円の住宅ローンを支払うのは大変だが、10万円の支払いなら余裕がある」・・・
このような場合、「住み替え」を検討してもいいでしょう。住み替えとは、現在の住宅を売却した資金を元手に、新たな家屋を購入するというプランです。売却金額が物件の残債より下回る、いわゆるオーバーローン物件の場合でも、買い替えローンを組んで返済を立て直すことが可能です。普通、残債が残る場合は売却先行で手続きを進めます。無理をして大きなローンを組まずに、買い替え物件をじっくり探すことが大切です。
■住み替えの流れ
1) 買い替え先を決める |
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2) 査定の依頼 |
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3) 仲介業者へ売却の依頼 |
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4) 売却活動スタート |
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5) 売却成立/代金決済(抵当権抹消)/持ち家を引き渡す |
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